ギャラクシーニュース
※本ページの創作物は全てフィクションです。 実在の人物・団体とは一切関係はありません。
※もしかしたら機種依存文字(おんぷ)を最初に使ってるかもしれません。
ジャ、ジャ、ジャジャッ♪ ジャ、ジャジャ、ジャジャジャッ♪、
チャチャラチャラーチャラーーン♪
「ギャラクシーニュース・10の時間です。 キャスターのレイモンド・久米です」
「ロアーナ・リンです。 この番組は120言語同時翻訳で放送しております」
「それでは最初のニュースです。 惑星テラで大規模な暴動が発生しました…」
■ ■ ■ ■ ■
「…では次は、ニュー・プロダクツ・トピックスのコーナーです」
「今日のレポーターは、新人アナウンサーの響子・ローゼンバーグさんが初挑戦しますよ」
「リンさんの後輩だそうですね、楽しみです。 響子さーん?」
『は、はい! 新人の響子・ローゼンバーグです、 きょ、今日はロボテクス・カンパニーに来ております』
画面に、マイクを持った女子アナの緊張した笑顔が映り、直ぐに巨大な工場の遠景に切り替わる。
それを見たキャスターは、スムーズにレポーターに問いかけた。
「ロボテクスと言えば、アンドロイド製造ではトップシェアの会社ですよね」
『はい、そうなんですが、実は人間の身体の代替機器にも力を入れているのを御存知ですか?』
再び工場内の女子アナに映像が切り替わる。
女子アナの背後には、何かの巨大な機械と、技術者らしい痩せた男が立っていた。
『こちらの会社では、以前からロボット工学のノウハウを生かして、
義手や義足、人工内臓といった製品を積極的に展開していたんですが、
それを人間に移植する為には、それなりの手術設備と熟練した医師が必要だったんです』
身振り手振りを大げさに、分かり易く女子アナは続ける。
『それが、この後ろの機械を使うと、全自動で行うことが出来ちゃいます!』
大写しになる、後ろの洗車装置みたいな大型機械。
テロップに表示される、『自動代替装置・BODY CHANGER』の文字。
『それでは開発責任者のデイブ・黒沢さんに話を伺いましょう。
黒沢さん、これはどういった目的で作られたんですか?』
『はい、我が社のBODY CHANGERは、この迫り出したベッドに患者を乗せると、
内部で自動検診して、およそ20秒で指定カ所を代替部品に変換手術することが可能です。
医者が不足している、事故の多い資源惑星や、辺境の惑星開拓用に開発いたしました』
『なるほど、大事故で重傷を負っても、この機械があれば大丈夫という訳なんですね』
『はい、部品のストックさえあれば、これ一台で近隣エリアの死亡率が大幅に下がります。
実際、いくつかの現場ではテスト機が稼働してますが、大変ご好評戴いております』
『患者さんの体型に個人差があると思うのですが、義肢の寸法とかは大丈夫なんですか?』
『それもクリアしています。 皮膚をコーティングして義肢に変換出来るのが特長なんです』
スタジオの二人のキャスターは、感心した様子でうなずいている。
「自動の手術装置と、義肢の手術装置を一体化したのがミソなんだな」
「手術の失敗ってのは有りえないんですか?」
『すでに枯れた技術ですので… 確率的にはほぼ100%フリーですね』
「患者さんによっては、勝手に機械化されて怒りませんかね?」
『それは…どうでしょう… (はい、はい、) 作業現場では、予め希望を聞いておくそうですー』
■ ■ ■ ■ ■
放送時間も残り少なくなり、コーナーも締めに入ろうとしていた。
『それでは、最後にこの機械の実演をお目にかけますが…』
ザワザワ…ザワザワ… 何だろう、少し現場がもめている様だ。
「ローゼンバーグさん? どうかしましたかー?」
『はい… はい… ちょっと機械が不調らしくて… 実演は中止? はい、はい。
それじゃ、本当は人形を乗せる予定だったんですが、代わりに私がベッドに乗ってみますー』
新人の女子アナがハツラツとした動作で、機械から迫り出したベッドに腰掛ける。
マイクを床に置いて、ディレクターの指示に従い、緊張した面持ちでベッドに仰向けになる響子。
ベッドというよりはカプセルの形をしている為、かなり窮屈そうだ。
『本来は、ここに患者さんが寝るんですー』
美しい女子アナがベッドに寝たのを横目で確認した技術者は、おもむろに機械を操作した。
直ぐさま、響子の首と手足に、銀色のベルトが巻かれ、機械の稼働音が唸る。
『え!? あ!? ちょ、ちょっと、どうしたんですか!?』
身動きが取れない響子の身体が、ゆっくりとカプセルに乗せられたまま、機械に入っていく。
頭から胸がすっぽり入った段階で、彼女は悲鳴を上げながらジタバタしているが、もう遅い。
事態の深刻さに気が付いたTVクルーが大騒ぎし、技術者に詰め寄る。
『お、おい! どうなってんだコリャ! 機械を止められないのか!?』
『どうも誤動作したらしくて… 今無理に機械を止めると、患者は死んでしまいますよ』
どことなく薄笑いを浮かべた技術者が、無責任な事を言う。
背後では、カプセルが完全に収納され、機械の横にある排出口から、
響子の着ていたピンクのスーツやローヒールのパンプスが、裁断されて出てきた。
『どうやら全交換モードで固定されちゃったみたいですね…
ほら…あの表示パネルを見て下さい。 あの人型のインジケータが、手術箇所なんです』
機械の中から聞こえる響子の悲鳴が、段々と小さくなり、完全に聞こえなくなると、
頭部や内臓、腕や脚の部分で分割されているインジケータが、それぞれ点滅し始めた。
『あの、赤い表示が手術中の部分で、緑色に変わると、機械部品に代替完了ですね』
ゆっくりと、インジケータの腕と脚の表示が、緑色に変わっていく。
やがて、複雑な形をした胴体部分の表示も緑色に変わり、
30秒ほどで、最後まで残っていた頭の部分も緑色に変わった。
『あ、もう終わっちゃいましたね。 全部機械に交換したら、人間じゃなくなっちゃうな』
『な、なんてことだ… 元に戻せないのか!?』
『全部手術しちゃいましたからね、もう二度と戻りませんよ』
TVクルーの責任者が、真っ青になって頭を抱えている中、
革新的な自動機械から物々しくカプセルが排出され、シリンダー状の扉が開く。
皆が見守る中、全身がメタリックに輝いた全裸の女性型ロボットが身体を起こした。
新人アナウンサーにそっくりなそのロボットは、バチバチ、というノイズと共に電子音を発した。
『ピー・ イニシャライズをして下さい。 OSが入っていません』
■ ■ ■ ■ ■
急遽、スタジオにカメラが戻る。
唖然とした表情で、事の成り行きを見守っていたキャスター二人。
ハッと我に返ったレイモンドとロアーナは、とりあえずその場をつくろった。
「に、人間の時より流暢な発声でしたね。 今後が楽しみです」
「それでは次のニュースに参ります…」
〜おわり〜
(2002/09/11)作成
(2002/12/10)挿し絵追加
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